検診事業
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肥満度BMI
(body mass index)
 肥満は高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化症などを起こすことから近年とくに重視されるようになりました。肥満は「多すぎる脂肪が体に蓄積した状態」をいいます。
 体脂肪が過剰になれば体重も増えますから、標準体重を設定し、肥満の判定をするわけです。判定の物差しとしてBMIが国際的にも使われています。
 BMIは、体重(Kg)÷[身長(m)×身長(m)]の式で、身長・体重測定により自動的に算出されます。
体脂肪率  肥満度を身長と体重から算出するのではなく、体の脂肪の割合(体脂肪率)を体脂肪計で測定して肥満度を判定する方法です。
聴力  1000Hzと4000Hzの異なる周波数の音が一定レベルで聞こえるかどうか調べます。
心電図  心臓の筋肉が収縮するごとに発生する微量の活動電流の変化を波形で記録したものが心電図です。不整脈、狭心症、心筋梗塞、心臓肥大などの診断にきわめて有用です。
血圧  心臓は、ポンプの役割をして全身に血液を送り出しています。このとき血管にかかる圧力が血圧です。高血圧を放置すると動脈硬化症や狭心症、心筋梗塞、脳血管障害などの危険が高まります。
検尿  尿蛋白、尿糖、尿潜血を検査します。
  尿蛋白:腎炎、ネフローゼ症候群、尿路感染症、良性蛋白尿など
  尿  糖:糖尿病、腎性糖尿など
  尿潜血:腎炎、尿管結石、尿路感染症、腎臓-尿路系の腫瘍など
胸部X線  肺の病気の診断が主目的ですが、その他心臓や大動脈および骨の状態なども診断します。
細胞診断 喀痰細胞診(蓄痰法)
 中心型肺がん(太い気管支に生じた肺がん)は胸部X線撮影では心臓や大動脈、大静脈の影に病巣が隠れてしまい「がん」を確認できないことがあるため、痰の中にがん細胞がないかを検査します。
 末梢型肺がん(細い気管支に生じた肺がん)は胸部X線撮影で発見されることが多いので、肺がん検査は両方をお勧めします。

婦人科細胞診(自己採取法)
 受診者本人が採取した試料の中に子宮頸がんの異常細胞がないかどうかを検査します。
眼底  眼の病気だけでなく、脳や血管などの病気についても多くの情報を得ることができます。高血圧症、動脈硬化症、糖尿病の合併症の有無、網膜疾患の診断に役立ちます。
脂質 総コレステロール
 血液の中にはコレステロールという脂質が含まれています。ホルモンや細胞壁などをつくる上で大切なものですが、多くなりすぎると動脈硬化が進み血管を詰まらせ心筋梗塞や脳卒中などにつながります。

中性脂肪
 中性脂肪は主にエネルギーの材料になりますが、余った分は皮下脂肪として体内に蓄積されます。多くなりすぎるとLDL(悪玉)コレステロールを増やし動脈硬化の原因になります。

HDL-コレステロール
 HDLコレステロールは、血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすコレステロールを取り除き、肝臓まで運ぶ働きをしています。いわば、血管内の掃除役ともいうべき存在で、このことから「善玉コレステロール」とよばれています。

LDL-コレステロール
 LDLは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしているリポ蛋白のことで、LDL-コレステロールは動脈硬化を引き起こす直接的な危険因子とされ、「悪玉コレステロール」とよばれています。
 LDL-コレステロールの値の上昇と動脈硬化症の発症には密接な関係があります。
肝機能 GOT(AST)、GPT(ALT)
 これらは肝細胞の中にあって、アミノ酸を合成する酵素として働いていますが、肝細胞が傷害されると、血液中に漏れ出して高値になります。
 なお、肝臓以外に心臓、筋肉、血球などの細胞にも含まれており、それぞれの疾患で異常値を示します。

LDH(LD)
 肝臓以外にも造血細胞や血球、筋肉などにも多く含まれ、必ずしも肝障害だけの指標とは限りません。GOTやGPTなどと合わせて、重症度や治癒の判定に用いられます。

ALP
 肝機能の中でも、主に胆汁の通り道である胆道系の障害で高値を示します。

y-GTP(y-GT)
 胆道系の障害などでALPなどの胆道系酵素とともに上昇します。さらに、単独でアルコールによる肝障害を鋭敏に反映します。

ZTT
 肝障害時のタンパク質の変化を利用して肝機能を把握します。
肝炎ウィルス HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体
 肝炎ウィルスに感染すると、血液中には、ウィルスという抗原に対して攻撃を仕掛ける抗体が作られます。この免疫の仕組みから、B型やC型肝炎ウィルスの有無と過去の感染を判断するのがこの検査です。
 B型肝炎ウィルスはHBs抗原とHBs抗体の検査をします。HBs抗原が(+)であれば、現在、B型肝炎ウィルスに感染しているという証明です。さらに詳しい検査をする必要があります。HBs抗体だけが(+)の場合は過去の感染のサインで心配無用です。
 C型肝炎ウィルスはHCV抗体を調べます。HCV抗体が(+)でも必ずしもC型肝炎ウィルスに感染しているとは限りません。自然治癒する場合もありますので、さらに詳しい検査をする必要があります。
腎機能 尿素窒素、クレアチニン
 蛋白が体内で利用された後の産物が尿素窒素で、クレアチンという物質が筋肉で利用された後の産物がクレアチニンです。両方とも腎臓を経て尿中に排泄されます。
 腎臓の機能が何らかの原因で低下すると、本来は捨てられるべき有毒物質が腎臓で尿中に排泄できなくなるため、血液中に増えてきます。したがってこの検査は、腎臓の働きを調べる検査です。
尿酸値 尿酸
 尿酸は、核酸(遺伝子の本体となるDNA、RNA)を構成するプリン体とよばれる蛋白の一種が体内で代謝された結果つくられた最終産物です。多くの場合、核酸をたくさん含む食事、つまり肉類、ビールなどの過剰な摂取で高尿酸血症、いわゆる痛風を生じます。
糖尿病 空腹時血糖値
 空腹時の血液中のブドウ糖の濃度を一般に空腹時血糖値といいます。高血糖状態が続くといろいろな合併症が出現します。

HbA1c
 血糖値は食事の影響を受けますが、HbA1cの値は安定しています。高血糖状態が長く続くとブドウ糖はヘモグロビンと結合し、このHbA1cを生成します。その値は血糖値に比例しますので糖尿病か否かの診断が可能です。
 また過去(1~2ヶ月)の平均血糖値と相関しますので、血糖値コントロールの状態や成果を診るのには、良い指標となります。
血算 赤血球数
 赤血球は血液中の有形成分のうち99%を占め、体の組織細胞に酸素を運び、不要な炭酸ガスを運び去るという大切な役目を果たしています。減少すると貧血になります。

ヘマトクリット
 血液全体に占める赤血球の割合を表したものがヘマトクリットです。そのため、ヘマトクリットの値が下がると貧血が疑われます。

血色素
 赤血球の機能として大切なガス交換に必要な血色素の量のことです。鉄は血色素をつくる物質の一つで、これがないと血色素が合成されず貧血になります。これが鉄欠乏性貧血です。

白血球数
 赤血球よりはるかに数が少ない白血球ですが、その役割は重要です。体内に侵入した細菌や異物を自分の中に取り込み分解して無毒化する働きがあります。
 増加すると白血病、悪性リンパ腫、肺炎などの疾患があります。減少すると無顆粒球症などがあります。

血小板
 血小板は出血時に止血する働きがあります。減少すると皮下出血(紫斑)や鼻血などの出血症状が出て治療が必要になります。

血清鉄
 血清鉄検査は、貧血の90%以上を占める鉄欠乏性貧血が疑われる時に行われます。
膵機能 血清アミラーゼ
 アミラーゼは、デンプンの分解酵素です。膵臓と一部は唾液腺から分泌され、膵臓の機能を探る検査に使われます。
総蛋白・
アルブミン
 栄養状態を表し、これが正常値の下限以下であれば、ネフローゼ症候群、慢性肝障害や肝硬変が疑われます。
腫瘍マーカー 前立腺(PSA)
 前立腺に特異的にみられる腫瘍マーカーで、前立腺がんのスクリーニング検査です。
 良性の前立腺肥大症でも陽性になります。この場合、前がん状態との鑑別が重要なので精密検査をする必要があります。
胃X線  胃を写し出すX線検査ですが、発泡剤で胃をふくらませてから造影剤(バリウム)を飲んで撮影します。
 胃をふくらませて、その内面にバリウムを塗りつけた状態になるので、胃壁に生じた病変を早いうちから的確に発見することができます。
ペプシノーゲン法  ペプシノーゲンとは胃の粘膜から分泌される物質で、胃酸の作用でタンパク質分解酵素(ペプシン)に変わります。
 胃の中の、つくられる場所によってペプシノーゲンⅠとⅡとに分類され、血液中のペプシノーゲンⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の程度、胃粘膜の炎症の有無がわかり、胃がんのスクリーニング検査として有用です。
 また、ピロリ菌に感染していると高値を示し除菌されると正常値になるので、除菌治療の効果を判定するのに役立つと期待されています。
ピロリ菌  ピロリ菌は胃の粘膜にすみついて、胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になるのではないかといわれています。
 比較的はっきりしているのは潰瘍の一因になることで、胃・十二指腸潰瘍を繰り返し再発する人に薬を投与してピロリ菌を退治すると、その9割くらいは再発しなくなることが確かめられています。
 ただし、ピロリ菌だけが胃・十二指腸潰瘍の原因とはいえません。ほかの因子(ストレス、暴飲暴食、体質、喫煙など)も関係していると考えられています。
 また、ピロリ菌感染者の方が「胃がん」発生率が明らかに高率であり、感染時期が早いほど「胃がん」の発生率も高くなるといわれています。
 なお、健康保険を適用して除菌できるのは、胃潰瘍などの既往歴がある場合に限られます。
便潜血  口から食堂、胃腸を経て肛門まで続く長い消化管のどこかに出血があると、便に血液が混じります。
 出血が少量だと肉眼ではわかりません。この肉眼で判断できない血液の混入を調べるのが便潜血です。大腸がんや潰瘍性大腸炎などのスクリーニング検査として有用です。
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